柳の木の後にある赤い煉瓦造りの倉に、山形の下に一を引いた屋号のような紋が付いていて、その左右に何のためとも解らない、大きな折釘に似たものが壁の中から突き出している所を、津田が見るとも見ないとも片のつかない眼で、ぼんやり眺めていた時、遠慮のない足音が急に聞こえて、誰かが階子段を、どしどし上って来た。
津田はおやと思った。
この足音の調子から、その主がもう七分通り、彼の頭の中では推定されていた。
柳の木の後にある赤い煉瓦造りの倉に、山形の下に一を引いた屋号のような紋が付いていて、その左右に何のためとも解らない、大きな折釘に似たものが壁の中から突き出している所を、津田が見るとも見ないとも片のつかない眼で、ぼんやり眺めていた時、遠慮のない足音が急に聞こえて、誰かが階子段を、どしどし上って来た。
津田はおやと思った。
この足音の調子から、その主がもう七分通り、彼の頭の中では推定されていた。