「これが一番大きくって心持がいいでしょう」と云った下女は、津田のために擦硝子の篏った戸をがらがらと開けてくれた。
中には誰もいなかった。
湯気が籠るのを防ぐためか、座敷で云えば欄間と云ったような部分にも、やはり硝子戸の設けがあって、半分ほど隙かされたその二枚の間から、冷たい一道の夜気が、縕袍を脱ぎにかかった津田の身体を、山里らしく襲いに来た。
「これが一番大きくって心持がいいでしょう」と云った下女は、津田のために擦硝子の篏った戸をがらがらと開けてくれた。
中には誰もいなかった。
湯気が籠るのを防ぐためか、座敷で云えば欄間と云ったような部分にも、やはり硝子戸の設けがあって、半分ほど隙かされたその二枚の間から、冷たい一道の夜気が、縕袍を脱ぎにかかった津田の身体を、山里らしく襲いに来た。