「それで」と云いかけた津田は、俯向加減になって鄭寧に林檎の皮を剥いている清子の手先を眺めた。
滴るように色づいた皮が、ナイフの刃を洩れながら、ぐるぐると剥けて落ちる後に、水気の多そうな薄蒼い肉がしだいに現われて来る変化は彼に一年以上経った昔を憶い起させた。
「あの時この人は、ちょうどこういう姿勢で、こういう林檎を剥いてくれたんだっけ」
「それで」と云いかけた津田は、俯向加減になって鄭寧に林檎の皮を剥いている清子の手先を眺めた。
滴るように色づいた皮が、ナイフの刃を洩れながら、ぐるぐると剥けて落ちる後に、水気の多そうな薄蒼い肉がしだいに現われて来る変化は彼に一年以上経った昔を憶い起させた。
「あの時この人は、ちょうどこういう姿勢で、こういう林檎を剥いてくれたんだっけ」