その落款に書いてある筒井憲という名は、たしか旗本の書家か何かで、大変字が上手なんだと、十五、六の昔此所の主人から教えられた事を思い出した。
彼はその主人をその頃は兄さん兄さんと呼んで始終遊びに行ったものである。
そうして年からいえば叔父甥ほどの相違があるのに、二人して能く座敷の中で相撲をとっては姉から怒られたり、屋根へ登って無花果を挘いで食って、その皮を隣の庭へ投げたため、尻を持ち込まれたりした。
その落款に書いてある筒井憲という名は、たしか旗本の書家か何かで、大変字が上手なんだと、十五、六の昔此所の主人から教えられた事を思い出した。
彼はその主人をその頃は兄さん兄さんと呼んで始終遊びに行ったものである。
そうして年からいえば叔父甥ほどの相違があるのに、二人して能く座敷の中で相撲をとっては姉から怒られたり、屋根へ登って無花果を挘いで食って、その皮を隣の庭へ投げたため、尻を持ち込まれたりした。