主人が箱入りのコンパスを買って遣るといって彼を騙したなり何時まで経っても買ってくれなかったのを非常に恨めしく思った事もあった。
姉と喧嘩をして、もう向うから謝罪って来ても勘忍してやらないと覚悟を極めたが、いくら待っていても、姉が詫まらないので、仕方なしにこちらからのこのこ出掛けて行ったくせに、手持無沙汰なので、向うで御這入りというまで、黙って門口に立っていた滑稽もあった。
古い額を眺めた健三は、子供の時の自分に明らかな記憶の探照燈を向けた。
主人が箱入りのコンパスを買って遣るといって彼を騙したなり何時まで経っても買ってくれなかったのを非常に恨めしく思った事もあった。
姉と喧嘩をして、もう向うから謝罪って来ても勘忍してやらないと覚悟を極めたが、いくら待っていても、姉が詫まらないので、仕方なしにこちらからのこのこ出掛けて行ったくせに、手持無沙汰なので、向うで御這入りというまで、黙って門口に立っていた滑稽もあった。
古い額を眺めた健三は、子供の時の自分に明らかな記憶の探照燈を向けた。