比田は笑いながら、机の上に伏せた本を取って健三に渡した。
それが意外にも『常山紀談』だったので健三は少し驚ろいた。
それにしても自分の細君が今にも絶息しそうな勢で咳き込んでいるのを、まるで余所事のように聴いて、こんなものを平気で読んでいられるところが、如何にも能くこの男の性質をあらわしていた。
比田は笑いながら、机の上に伏せた本を取って健三に渡した。
それが意外にも『常山紀談』だったので健三は少し驚ろいた。
それにしても自分の細君が今にも絶息しそうな勢で咳き込んでいるのを、まるで余所事のように聴いて、こんなものを平気で読んでいられるところが、如何にも能くこの男の性質をあらわしていた。