彼は細君から受取った一括りの書付を手に載せたまま、ぼんやり時代の付いた紙の色を眺めた。
それから何も意味なしに、裏表を引繰返して見た。
書類は厚さにしてほぼ二寸もあったが、風の通らない湿気た所に長い間放り込んであったせいか、虫に食われた一筋の痕が偶然健三の眼を懐古的にした。
彼は細君から受取った一括りの書付を手に載せたまま、ぼんやり時代の付いた紙の色を眺めた。
それから何も意味なしに、裏表を引繰返して見た。
書類は厚さにしてほぼ二寸もあったが、風の通らない湿気た所に長い間放り込んであったせいか、虫に食われた一筋の痕が偶然健三の眼を懐古的にした。