健三も細君も御常の書いた手紙の傾向をよく覚えていた。
彼女とはさして縁故のない人ですら、親切に毎月いくらかずつの送金をしてくれるのに、小さい時分あれほど世話になって置きながら、今更知らん顔をしていられた義理でもあるまいといった風の筆意が、一頁ごとに見透かされた。
その時彼はこの手紙を東京にいる兄の許に送った。
健三も細君も御常の書いた手紙の傾向をよく覚えていた。
彼女とはさして縁故のない人ですら、親切に毎月いくらかずつの送金をしてくれるのに、小さい時分あれほど世話になって置きながら、今更知らん顔をしていられた義理でもあるまいといった風の筆意が、一頁ごとに見透かされた。
その時彼はこの手紙を東京にいる兄の許に送った。