もうどうする事も出来ないんですって」
口数の寡ない細君は、自分の生家に関する詳しい話を今まで夫の耳に入れずに通して来たのである。
職に離れて以来の不如意を薄々知っていながら、まさかこれほどとも思わずにいた健三は、急に眼を転じてその人の昔を見なければならなかった。
もうどうする事も出来ないんですって」
口数の寡ない細君は、自分の生家に関する詳しい話を今まで夫の耳に入れずに通して来たのである。
職に離れて以来の不如意を薄々知っていながら、まさかこれほどとも思わずにいた健三は、急に眼を転じてその人の昔を見なければならなかった。