従って彼はこの預金から当然生まれて来る百円近くの利子を毎月調達して、体面を繕ろわなければならなかった。
自家の経済よりもかえってこの方を苦に病んでいた彼が、公生涯の持続に絶対に必要なその百円を、月々保険会社から貰うようになったのは、当時の彼の心中に立入って考えて見ると、全く嬉しいに違なかった。
よほど後になって始めてこの話を細君から聴いた健三は、彼女の父に対して新たな同情を感じただけで、不徳義漢として彼を悪む気は更に起らなかった。
従って彼はこの預金から当然生まれて来る百円近くの利子を毎月調達して、体面を繕ろわなければならなかった。
自家の経済よりもかえってこの方を苦に病んでいた彼が、公生涯の持続に絶対に必要なその百円を、月々保険会社から貰うようになったのは、当時の彼の心中に立入って考えて見ると、全く嬉しいに違なかった。
よほど後になって始めてこの話を細君から聴いた健三は、彼女の父に対して新たな同情を感じただけで、不徳義漢として彼を悪む気は更に起らなかった。