試ろみに綿入の背中を撫で廻して貰うと、はたしてどこも湿っていなかった。
余はどうして一番上に着た護謨合羽と羽織だけが、これほど烈しく濡れたのだろうかと考えて、私かに不審を抱いた。
池辺君の容体が突然変ったのは、その日の十時半頃からで、一時は注射の利目が見えるくらい、落ちつきかけたのだそうである。
試ろみに綿入の背中を撫で廻して貰うと、はたしてどこも湿っていなかった。
余はどうして一番上に着た護謨合羽と羽織だけが、これほど烈しく濡れたのだろうかと考えて、私かに不審を抱いた。
池辺君の容体が突然変ったのは、その日の十時半頃からで、一時は注射の利目が見えるくらい、落ちつきかけたのだそうである。