叔母はこう云ったと小六は繰り返した。
小六はその時ふと兄が、先年父の葬式の時に出京して、万事を片づけた後、広島へ帰るとき、小六に、御前の学資は叔父さんに預けてあるからと云った事があるのを思い出して、叔母に始めて聞いて見ると、叔母は案外な顔をして、
「そりゃ、あの時、宗さんが若干か置いて行きなすった事は、行きなすったが、それはもうありゃしないよ。
叔母はこう云ったと小六は繰り返した。
小六はその時ふと兄が、先年父の葬式の時に出京して、万事を片づけた後、広島へ帰るとき、小六に、御前の学資は叔父さんに預けてあるからと云った事があるのを思い出して、叔母に始めて聞いて見ると、叔母は案外な顔をして、
「そりゃ、あの時、宗さんが若干か置いて行きなすった事は、行きなすったが、それはもうありゃしないよ。