裏の家主の宅に、小さい子供が大勢いて、それが崖の上の庭へ出て、ブランコへ乗ったり、鬼ごっこをやったりして騒ぐ声が、よく聞えると、御米はいつでも、はかないような恨めしいような心持になった。
今自分の前に坐っている叔母は、たった一人の男の子を生んで、その男の子が順当に育って、立派な学士になったればこそ、叔父が死んだ今日でも、何不足のない顔をして、腮などは二重に見えるくらいに豊なのである。
御母さんは肥っているから剣呑だ、気をつけないと卒中でやられるかも知れないと、安之助が始終心配するそうだけれども、御米から云わせると、心配する安之助も、心配される叔母も、共に幸福を享け合っているものとしか思われなかった。