そうしてこの明るい灯影に、宗助は御米だけを、御米は宗助だけを意識して、洋灯の力の届かない暗い社会は忘れていた。
彼らは毎晩こう暮らして行く裡に、自分達の生命を見出していたのである。
この静かな夫婦は、安之助の神戸から土産に買って来たと云う養老昆布の缶をがらがら振って、中から山椒入りの小さく結んだ奴を撰り出しながら、緩くり佐伯からの返事を語り合った。
そうしてこの明るい灯影に、宗助は御米だけを、御米は宗助だけを意識して、洋灯の力の届かない暗い社会は忘れていた。
彼らは毎晩こう暮らして行く裡に、自分達の生命を見出していたのである。
この静かな夫婦は、安之助の神戸から土産に買って来たと云う養老昆布の缶をがらがら振って、中から山椒入りの小さく結んだ奴を撰り出しながら、緩くり佐伯からの返事を語り合った。