刷毛の音がやんでもなかなか六畳から出て来ないので、また行って見ると、薄暗い部屋の中で、御米はたった一人寒そうに、鏡台の前に坐っていた。
はいと云って立ったが、その声が泣いた後の声のようであった。
その晩夫婦は火鉢に掛けた鉄瓶を、双方から手で掩うようにして差し向った。
刷毛の音がやんでもなかなか六畳から出て来ないので、また行って見ると、薄暗い部屋の中で、御米はたった一人寒そうに、鏡台の前に坐っていた。
はいと云って立ったが、その声が泣いた後の声のようであった。
その晩夫婦は火鉢に掛けた鉄瓶を、双方から手で掩うようにして差し向った。