南へ廻すと、玄関からの入口を半分塞いでしまうし、東へ出すと暗くなる、と云って、残る一方へ立てれば床の間を隠すので、宗助は、
「せっかく親爺の記念だと思って、取って来たようなものの、しようがないねこれじゃ、場塞げで」と零した事も一二度あった。
その都度御米は真丸な縁の焼けた銀の月と、絹地からほとんど区別できないような穂芒の色を眺めて、こんなものを珍重する人の気が知れないと云うような見えをした。
南へ廻すと、玄関からの入口を半分塞いでしまうし、東へ出すと暗くなる、と云って、残る一方へ立てれば床の間を隠すので、宗助は、
「せっかく親爺の記念だと思って、取って来たようなものの、しようがないねこれじゃ、場塞げで」と零した事も一二度あった。
その都度御米は真丸な縁の焼けた銀の月と、絹地からほとんど区別できないような穂芒の色を眺めて、こんなものを珍重する人の気が知れないと云うような見えをした。