門口などで行き逢うと、丁寧に時候の挨拶をして、ちと御話にいらっしゃいと云うが、ついぞ行った事もなければ、向うからも来た試がない。
したがって夫婦の本多さんに関する知識は極めて乏しかった。
ただ息子が一人あって、それが朝鮮の統監府とかで、立派な役人になっているから、月々その方の仕送で、気楽に暮らして行かれるのだと云う事だけを、出入の商人のあるものから耳にした。
門口などで行き逢うと、丁寧に時候の挨拶をして、ちと御話にいらっしゃいと云うが、ついぞ行った事もなければ、向うからも来た試がない。
したがって夫婦の本多さんに関する知識は極めて乏しかった。
ただ息子が一人あって、それが朝鮮の統監府とかで、立派な役人になっているから、月々その方の仕送で、気楽に暮らして行かれるのだと云う事だけを、出入の商人のあるものから耳にした。