暗い部屋が茫漠手元の灯に照らされた時、御米は鈍く光る箪笥の環を認めた。
それを通り過ぎると黒く燻ぶった台所に、腰障子の紙だけが白く見えた。
御米は火の気のない真中に、しばらく佇ずんでいたが、やがて右手に当る下女部屋の戸を、音のしないようにそっと引いて、中へ洋灯の灯を翳した。
暗い部屋が茫漠手元の灯に照らされた時、御米は鈍く光る箪笥の環を認めた。
それを通り過ぎると黒く燻ぶった台所に、腰障子の紙だけが白く見えた。
御米は火の気のない真中に、しばらく佇ずんでいたが、やがて右手に当る下女部屋の戸を、音のしないようにそっと引いて、中へ洋灯の灯を翳した。