燐寸を擦って蝋燭を点して、それを台所にあった小桶の中へ立てて、茶の間へ出たが、次の部屋には細君と子供が寝ているので、廊下伝いに主人の書斎へ来て、そこで仕事をしていると、この間生れた末の男の子が、乳を呑む時刻が来たものか、眼を覚まして泣き出したため、賊は書斎の戸を開けて庭へ逃げたらしい。
「平常のように犬がいると好かったんですがね。
あいにく病気なので、四五日前病院へ入れてしまったもんですから」と主人は残念がった。
燐寸を擦って蝋燭を点して、それを台所にあった小桶の中へ立てて、茶の間へ出たが、次の部屋には細君と子供が寝ているので、廊下伝いに主人の書斎へ来て、そこで仕事をしていると、この間生れた末の男の子が、乳を呑む時刻が来たものか、眼を覚まして泣き出したため、賊は書斎の戸を開けて庭へ逃げたらしい。
「平常のように犬がいると好かったんですがね。
あいにく病気なので、四五日前病院へ入れてしまったもんですから」と主人は残念がった。