そうして頭の中で、自分の下宿にいた法科大学生が、ちょっと散歩に出るついでに、資生堂へ寄って、三つ入りの石鹸と歯磨を買うのにさえ、五円近くの金を払う華奢を思い浮べた。
するとどうしても自分一人が、こんな窮境に陥るべき理由がないように感ぜられた。
それから、こんな生活状態に甘んじて一生を送る兄夫婦がいかにも憫然に見えた。
そうして頭の中で、自分の下宿にいた法科大学生が、ちょっと散歩に出るついでに、資生堂へ寄って、三つ入りの石鹸と歯磨を買うのにさえ、五円近くの金を払う華奢を思い浮べた。
するとどうしても自分一人が、こんな窮境に陥るべき理由がないように感ぜられた。
それから、こんな生活状態に甘んじて一生を送る兄夫婦がいかにも憫然に見えた。