宗助は弟に夕方になったら、ちと洋灯を点けるとか、戸を閉てるとかして、忙しい姉の手伝でもしたら好かろうと注意したかったが、昨今引き移ったばかりのものに、気まずい事を云うのも悪かろうと思ってやめた。
御米が座敷から帰って来るのを待って、兄弟は始めて茶碗に手を着けた。
その時宗助はようやく今日役所の帰りがけに、道具屋の前で坂井に逢った事と、坂井があの大きな眼鏡を掛けている道具屋から、抱一の屏風を買ったと云う話をした。
宗助は弟に夕方になったら、ちと洋灯を点けるとか、戸を閉てるとかして、忙しい姉の手伝でもしたら好かろうと注意したかったが、昨今引き移ったばかりのものに、気まずい事を云うのも悪かろうと思ってやめた。
御米が座敷から帰って来るのを待って、兄弟は始めて茶碗に手を着けた。
その時宗助はようやく今日役所の帰りがけに、道具屋の前で坂井に逢った事と、坂井があの大きな眼鏡を掛けている道具屋から、抱一の屏風を買ったと云う話をした。