この印刷術は近来英国で発明になったもので、根本的にいうとやはり電気の利用に過ぎなかった。
電気の一極を活字と結びつけておいて、他の一極を紙に通じて、その紙を活字の上へ圧しつけさえすれば、すぐできるのだと小六が云った。
色は普通黒であるが、手加減しだいで赤にも青にもなるから色刷などの場合には、絵の具を乾かす時間が省けるだけでも大変重宝で、これを新聞に応用すれば、印気や印気ロールの費を節約する上に、全体から云って、少くとも従来の四分の一の手数がなくなる点から見ても、前途は非常に有望な事業であると、小六はまた安之助の話した通りを繰り返した。