要するに彼ぐらいの年輩の青年が、一人前の人間になる階梯として、修むべき事、力むべき事には、内部の動揺やら、外部の束縛やらで、いっさい手が着かなかったのである。
それでも冷たい雨が横に降ったり、雪融の道がはげしく泥ったりする時は、着物を濡らさなければならず、足袋の泥を乾かさなければならない面倒があるので、いかな小六も時によると、外出を見合せる事があった。
そう云う日には、実際困却すると見えて、時々六畳から出て来て、のそりと火鉢の傍へ坐って、茶などを注いで飲んだ。
要するに彼ぐらいの年輩の青年が、一人前の人間になる階梯として、修むべき事、力むべき事には、内部の動揺やら、外部の束縛やらで、いっさい手が着かなかったのである。
それでも冷たい雨が横に降ったり、雪融の道がはげしく泥ったりする時は、着物を濡らさなければならず、足袋の泥を乾かさなければならない面倒があるので、いかな小六も時によると、外出を見合せる事があった。
そう云う日には、実際困却すると見えて、時々六畳から出て来て、のそりと火鉢の傍へ坐って、茶などを注いで飲んだ。