宗助はこの男の形装や言葉遣のおかしい割に、立派な品物を背中へ乗せて歩行くのをむしろ不思議に思った。
主人の細君の説明によると、この織屋の住んでいる村は焼石ばかりで、米も粟も収れないから、やむを得ず桑を植えて蚕を飼うんだそうであるが、よほど貧しい所と見えて、柱時計を持っている家が一軒だけで、高等小学へ通う小供が三人しかないという話であった。
「字の書けるものは、この人ぎりなんだそうですよ」と云って細君は笑った。
宗助はこの男の形装や言葉遣のおかしい割に、立派な品物を背中へ乗せて歩行くのをむしろ不思議に思った。
主人の細君の説明によると、この織屋の住んでいる村は焼石ばかりで、米も粟も収れないから、やむを得ず桑を植えて蚕を飼うんだそうであるが、よほど貧しい所と見えて、柱時計を持っている家が一軒だけで、高等小学へ通う小供が三人しかないという話であった。
「字の書けるものは、この人ぎりなんだそうですよ」と云って細君は笑った。