父の云いつけで、毎年の通り虫干の手伝をさせられるのも、こんな時には、かえって興味の多い仕事の一部分に数えられた。
彼は冷たい風の吹き通す土蔵の戸前の湿っぽい石の上に腰を掛けて、古くから家にあった江戸名所図会と、江戸砂子という本を物珍しそうに眺めた。
畳まで熱くなった座敷の真中へ胡坐を掻いて、下女の買って来た樟脳を、小さな紙片に取り分けては、医者でくれる散薬のような形に畳んだ。
父の云いつけで、毎年の通り虫干の手伝をさせられるのも、こんな時には、かえって興味の多い仕事の一部分に数えられた。
彼は冷たい風の吹き通す土蔵の戸前の湿っぽい石の上に腰を掛けて、古くから家にあった江戸名所図会と、江戸砂子という本を物珍しそうに眺めた。
畳まで熱くなった座敷の真中へ胡坐を掻いて、下女の買って来た樟脳を、小さな紙片に取り分けては、医者でくれる散薬のような形に畳んだ。