その年の京都の冬は、音を立てずに肌を透す陰忍な質のものであった。
安井はこの悪性の寒気にあてられて、苛いインフルエンザに罹った。
熱が普通の風邪よりもよほど高かったので、始は御米も驚ろいたが、それは一時の事で、すぐ退いたには退いたから、これでもう全快と思うと、いつまで立っても判然しなかった。
その年の京都の冬は、音を立てずに肌を透す陰忍な質のものであった。
安井はこの悪性の寒気にあてられて、苛いインフルエンザに罹った。
熱が普通の風邪よりもよほど高かったので、始は御米も驚ろいたが、それは一時の事で、すぐ退いたには退いたから、これでもう全快と思うと、いつまで立っても判然しなかった。