「何とかいてあったんです」「なあに二三行ばかりですがね。
苦沙弥君の文は行雲流水のごとしとありましたよ」細君は少しにこにこして「それぎりですか」「その次にね――出ずるかと思えば忽ち消え、逝いては長えに帰るを忘るとありましたよ」細君は妙な顔をして「賞めたんでしょうか」と心元ない調子である。
「まあ賞めた方でしょうな」と迷亭は済ましてハンケチを吾輩の眼の前にぶら下げる。
「何とかいてあったんです」「なあに二三行ばかりですがね。
苦沙弥君の文は行雲流水のごとしとありましたよ」細君は少しにこにこして「それぎりですか」「その次にね――出ずるかと思えば忽ち消え、逝いては長えに帰るを忘るとありましたよ」細君は妙な顔をして「賞めたんでしょうか」と心元ない調子である。
「まあ賞めた方でしょうな」と迷亭は済ましてハンケチを吾輩の眼の前にぶら下げる。