吾輩は鈴木君の不平な顔を拝見するのが面白いから滑稽の念を抑えてなるべく何喰わぬ顔をしている。
吾輩と鈴木君の間に、かくのごとき無言劇が行われつつある間に主人は衣紋をつくろって後架から出て来て「やあ」と席に着いたが、手に持っていた名刺の影さえ見えぬところをもって見ると、鈴木藤十郎君の名前は臭い所へ無期徒刑に処せられたものと見える。
名刺こそ飛んだ厄運に際会したものだと思う間もなく、主人はこの野郎と吾輩の襟がみを攫んでえいとばかりに椽側へ擲きつけた。
吾輩は鈴木君の不平な顔を拝見するのが面白いから滑稽の念を抑えてなるべく何喰わぬ顔をしている。
吾輩と鈴木君の間に、かくのごとき無言劇が行われつつある間に主人は衣紋をつくろって後架から出て来て「やあ」と席に着いたが、手に持っていた名刺の影さえ見えぬところをもって見ると、鈴木藤十郎君の名前は臭い所へ無期徒刑に処せられたものと見える。
名刺こそ飛んだ厄運に際会したものだと思う間もなく、主人はこの野郎と吾輩の襟がみを攫んでえいとばかりに椽側へ擲きつけた。