自己の思い通りに着々事件が進捗すれば、それで人生の目的は達せられたのである。
苦労と心配と争論とがなくて事件が進捗すれば人生の目的は極楽流に達せられるのである。
鈴木君は卒業後この極楽主義によって成功し、この極楽主義によって金時計をぶら下げ、この極楽主義で金田夫婦の依頼をうけ、同じくこの極楽主義でまんまと首尾よく苦沙弥君を説き落して当該事件が十中八九まで成就したところへ、迷亭なる常規をもって律すべからざる、普通の人間以外の心理作用を有するかと怪まるる風来坊が飛び込んで来たので少々その突然なるに面喰っているところである。