主人の左の手の拇指が本の間に挟まったままであるところから推すと奇特にも今夜は五六行読んだものらしい。
赤い本と並んで例のごとくニッケルの袂時計が春に似合わぬ寒き色を放っている。
細君は乳呑児を一尺ばかり先へ放り出して口を開いていびきをかいて枕を外している。
主人の左の手の拇指が本の間に挟まったままであるところから推すと奇特にも今夜は五六行読んだものらしい。
赤い本と並んで例のごとくニッケルの袂時計が春に似合わぬ寒き色を放っている。
細君は乳呑児を一尺ばかり先へ放り出して口を開いていびきをかいて枕を外している。