今度は先刻のように目覚しい食方もしなかった代りに、ハンケチを使って、中途で息を入れると云う不体裁もなく、蒸籠二つを安々とやってのけたのは結構だった。
「寒月君博士論文はもう脱稿するのかね」と主人が聞くと迷亭もその後から「金田令嬢がお待ちかねだから早々呈出したまえ」と云う。
寒月君は例のごとく薄気味の悪い笑を洩らして「罪ですからなるべく早く出して安心させてやりたいのですが、何しろ問題が問題で、よほど労力の入る研究を要するのですから」と本気の沙汰とも思われない事を本気の沙汰らしく云う。
今度は先刻のように目覚しい食方もしなかった代りに、ハンケチを使って、中途で息を入れると云う不体裁もなく、蒸籠二つを安々とやってのけたのは結構だった。
「寒月君博士論文はもう脱稿するのかね」と主人が聞くと迷亭もその後から「金田令嬢がお待ちかねだから早々呈出したまえ」と云う。
寒月君は例のごとく薄気味の悪い笑を洩らして「罪ですからなるべく早く出して安心させてやりたいのですが、何しろ問題が問題で、よほど労力の入る研究を要するのですから」と本気の沙汰とも思われない事を本気の沙汰らしく云う。