「回顧すると今を去る事――ええと――何年前だったかな――面倒だからほぼ十五六年前としておこう」「冗談じゃない」と主人は鼻からフンと息をした。
「大変物覚えが御悪いのね」と細君がひやかした。
寒月君だけは約束を守って一言も云わずに、早くあとが聴きたいと云う風をする。
「回顧すると今を去る事――ええと――何年前だったかな――面倒だからほぼ十五六年前としておこう」「冗談じゃない」と主人は鼻からフンと息をした。
「大変物覚えが御悪いのね」と細君がひやかした。
寒月君だけは約束を守って一言も云わずに、早くあとが聴きたいと云う風をする。