書生は後ろを振り返って「僕はもとからここにいたのです」とおとなしく答えた。
これは尋常の答で、ただその地を去らぬ事を示しただけが主人の思い通りにならんので、その態度と云い言語と云い、山賊として罵り返すべきほどの事でもないのは、いかに逆上の気味の主人でも分っているはずだ。
しかし主人の怒号は書生の席そのものが不平なのではない、先刻からこの両人は少年に似合わず、いやに高慢ちきな、利いた風の事ばかり併べていたので、始終それを聞かされた主人は、全くこの点に立腹したものと見える。
書生は後ろを振り返って「僕はもとからここにいたのです」とおとなしく答えた。
これは尋常の答で、ただその地を去らぬ事を示しただけが主人の思い通りにならんので、その態度と云い言語と云い、山賊として罵り返すべきほどの事でもないのは、いかに逆上の気味の主人でも分っているはずだ。
しかし主人の怒号は書生の席そのものが不平なのではない、先刻からこの両人は少年に似合わず、いやに高慢ちきな、利いた風の事ばかり併べていたので、始終それを聞かされた主人は、全くこの点に立腹したものと見える。