大出来だ。
天道公平君万歳だ」と迷亭先生は面白がって、大に笑い出す。
主人は少からざる尊敬をもって反覆読誦した書翰の差出人が金箔つきの狂人であると知ってから、最前の熱心と苦心が何だか無駄骨のような気がして腹立たしくもあり、また瘋癲病者の文章をさほど心労して翫味したかと思うと恥ずかしくもあり、最後に狂人の作にこれほど感服する以上は自分も多少神経に異状がありはせぬかとの疑念もあるので、立腹と、慚愧と、心配の合併した状態で何だか落ちつかない顔付をして控えている。
大出来だ。
天道公平君万歳だ」と迷亭先生は面白がって、大に笑い出す。
主人は少からざる尊敬をもって反覆読誦した書翰の差出人が金箔つきの狂人であると知ってから、最前の熱心と苦心が何だか無駄骨のような気がして腹立たしくもあり、また瘋癲病者の文章をさほど心労して翫味したかと思うと恥ずかしくもあり、最後に狂人の作にこれほど感服する以上は自分も多少神経に異状がありはせぬかとの疑念もあるので、立腹と、慚愧と、心配の合併した状態で何だか落ちつかない顔付をして控えている。