「つまらんじゃないか、それよりちょっと御上り」
寒月君はとうてい遠方では談判不調と思ったものか、靴を脱いでのそのそ上がって来た。
例のごとく鼠色の、尻につぎの中ったずぼんを穿いているが、これは時代のため、もしくは尻の重いために破れたのではない、本人の弁解によると近頃自転車の稽古を始めて局部に比較的多くの摩擦を与えるからである。
「つまらんじゃないか、それよりちょっと御上り」
寒月君はとうてい遠方では談判不調と思ったものか、靴を脱いでのそのそ上がって来た。
例のごとく鼠色の、尻につぎの中ったずぼんを穿いているが、これは時代のため、もしくは尻の重いために破れたのではない、本人の弁解によると近頃自転車の稽古を始めて局部に比較的多くの摩擦を与えるからである。