こう云う場合に人の心を乱すものはただ怖いと云う感じばかりだから、この感じさえ引き抜くと、余るところは皎々冽々たる空霊の気だけになる。
二十分ほど茫然としているうちに何だか水晶で造った御殿のなかに、たった一人住んでるような気になった。
しかもその一人住んでる僕のからだが――いやからだばかりじゃない、心も魂もことごとく寒天か何かで製造されたごとく、不思議に透き徹ってしまって、自分が水晶の御殿の中にいるのだか、自分の腹の中に水晶の御殿があるのだか、わからなくなって来た……」
こう云う場合に人の心を乱すものはただ怖いと云う感じばかりだから、この感じさえ引き抜くと、余るところは皎々冽々たる空霊の気だけになる。
二十分ほど茫然としているうちに何だか水晶で造った御殿のなかに、たった一人住んでるような気になった。
しかもその一人住んでる僕のからだが――いやからだばかりじゃない、心も魂もことごとく寒天か何かで製造されたごとく、不思議に透き徹ってしまって、自分が水晶の御殿の中にいるのだか、自分の腹の中に水晶の御殿があるのだか、わからなくなって来た……」