しかもその一人住んでる僕のからだが――いやからだばかりじゃない、心も魂もことごとく寒天か何かで製造されたごとく、不思議に透き徹ってしまって、自分が水晶の御殿の中にいるのだか、自分の腹の中に水晶の御殿があるのだか、わからなくなって来た……」
「飛んだ事になって来たね」と迷亭君が真面目にからかうあとに付いて、独仙君が「面白い境界だ」と少しく感心したようすに見えた。
「もしこの状態が長くつづいたら、私はあすの朝まで、せっかくのヴァイオリンも弾かずに、茫やり一枚岩の上に坐ってたかも知れないです……」
しかもその一人住んでる僕のからだが――いやからだばかりじゃない、心も魂もことごとく寒天か何かで製造されたごとく、不思議に透き徹ってしまって、自分が水晶の御殿の中にいるのだか、自分の腹の中に水晶の御殿があるのだか、わからなくなって来た……」
「飛んだ事になって来たね」と迷亭君が真面目にからかうあとに付いて、独仙君が「面白い境界だ」と少しく感心したようすに見えた。
「もしこの状態が長くつづいたら、私はあすの朝まで、せっかくのヴァイオリンも弾かずに、茫やり一枚岩の上に坐ってたかも知れないです……」