実は本当の元日なら、余の謡はもっと上手になってる訳だから、其の上手になった所を有の儘に告白したかったのだが、如何せん、筆を執ってる時は、元日にまだ間があったし、且虚子が年始に見えるとも見えないとも極まっていなかった上に、謡をうたう事も全然未定だったので、営業上已を得ず一年前の極めて告白し難い所を告白したのである。
此の順で行くと此年は又去年の元日を読者に御覧に入れなければならん訳であるが、そうそう過去のまずい所ばかり吹聴するのは、如何にも現在の己に対して侮辱を加えるようで済まない気がするから故意と略した。
それで猶のこと塞えた。