元来僕は漢学が好で随分興味を有って漢籍は沢山読んだものである。
今は英文学などをやって居るが、其頃は英語と来たら大嫌いで手に取るのも厭な様な気がした。
兄が英語をやって居たから家では少し宛教えられたけれど、教える兄は癇癪持、教わる僕は大嫌いと来て居るから到底長く続く筈もなく、ナショナルの二位でお終いになって了ったが、考えて見ると漢籍許り読んでこの文明開化の世の中に漢学者になった処が仕方なし、別に之と云う目的があった訳でもなかったけれど、此儘で過ごすのは充らないと思う処から、兎に角大学へ入って何か勉強しようと決心した。