ナショナルの二位しか読めないのが急に上の級へ入って、頭からスウヰントンの万国史などを読んだので、初めの中は少しも分らなかったが、其時は好な漢籍さえ一冊残らず売って了い夢中になって勉強したから、終にはだんだん分る様になって、其年(明治十七年)の夏は運よく大学予備門へ入ることが出来た。
同じ中学に居っても狩野、岡田などは変則の方に居たから早く予備門へ入って進んで行ったのだが、僕などが予備門へ入るとしては二松学舎や成立学舎などにまごついて居た丈遅れたのである。
何とか彼んとかして予備門へ入るには入ったが、惰けて居るのは甚だ好きで少しも勉強なんかしなかった。