ことに病気になって仰向に寝てからは、絶えず美くしい雲と空が胸に描かれた。
すると小宮君が歌麿の錦絵を葉書に刷ったのを送ってくれた。
余はその色合の長い間に自と寂びたくすみ方に見惚れて、眼を放さずそれを眺めていたが、ふと裏を返すと、私はこの画の中にあるような人間に生れたいとか何とか、当時の自分の情調とは似ても似つかぬ事が書いてあったので、こんなやにっこい色男は大嫌だ、おれは暖かな秋の色とその色の中から出る自然の香が好きだと答えてくれと傍のものに頼んだ。
ことに病気になって仰向に寝てからは、絶えず美くしい雲と空が胸に描かれた。
すると小宮君が歌麿の錦絵を葉書に刷ったのを送ってくれた。
余はその色合の長い間に自と寂びたくすみ方に見惚れて、眼を放さずそれを眺めていたが、ふと裏を返すと、私はこの画の中にあるような人間に生れたいとか何とか、当時の自分の情調とは似ても似つかぬ事が書いてあったので、こんなやにっこい色男は大嫌だ、おれは暖かな秋の色とその色の中から出る自然の香が好きだと答えてくれと傍のものに頼んだ。