易断に重きを置かない余は、固よりこの道において和尚と無縁の姿であったから、ただ折々襖越しに、和尚の、そりゃ当人の望み通りにした方が好うがすななどと云う縁談に関する助言を耳に挟さむくらいなもので、面と向き合っては互に何も語らずに久しく過ぎた。
ある時何かのついでに、話がつい人相とか方位とか云う和尚の縄張り内に摺り込んだので、冗談半分私の未来はどうでしょうと聞いて見たら、和尚は眼を据えて余の顔をじっと眺めた後で、大して悪い事もありませんなと答えた。
大して悪い事もないと云うのは、大して好い事もないと云ったも同然で、すなわち御前の運命は平凡だと宣告したようなものである。