自分の文芸に対する考えに基づいて文芸と云う其職業を判断して見ると、世間に存在して居る如何なる立派なる職業を持って来て比較して見ても、それに劣るとは言えない。
優るとは言えないかも知れないが、劣るとは言えない。
文芸も一種の職業であって見れば、文芸が男子一生の事業とするに足らなくて、政治が男子の事業であるとか、宗教が男子一生の事業でなくて、豆腐屋が男子一生の事業であるとか、第一職業の優劣と云うことが何う云う標準を以て附けられるか、甚だ漠然たるもので、其標準を一つに限らない以上は、お互いに或る標準を打ち立てた上でなくては優劣は付くものでない。