けれども起き直って机に向ったり、膳に着いたりする折は、もうここが我家だと云う気分に心を任して少しも怪しまなかった。
それで歳は暮れても春は逼っても別に感慨と云うほどのものは浮ばなかった。
余はそれほど長く病院にいて、それほど親しく患者の生活に根をおろしたからである。
けれども起き直って机に向ったり、膳に着いたりする折は、もうここが我家だと云う気分に心を任して少しも怪しまなかった。
それで歳は暮れても春は逼っても別に感慨と云うほどのものは浮ばなかった。
余はそれほど長く病院にいて、それほど親しく患者の生活に根をおろしたからである。