かつてギッシングの書いたものを読んだら、小さいうち学校で体操を強ひられるのが、非常の苦痛と不快を彼に与へたといふ事が精しく述べてあつた末に、もしわが英国で本人の意思に逆つて迄も徴兵を強制するやうになつたと仮定したら、自分は何んな心持になるだらう、さういふ事実は万々起る筈はないのだけれども、たゞ想像して見てさへ堪へられないと附け加へてあつた。
ギッシングのやうに独居を好む人は特別だと云ふかも知れないが、英国人の自由を愛する念と云つたら、殆ど第二の天性として一般に行き渡つてゐるのだから、強制徴兵に対する嫌悪の情は、誰しもギッシングに譲らないと見ても間違はないのである。
其英国で無理にも国民を兵籍に入れやうとするのには至大の困難があると思はなければならない。