著者は已を得ず煤煙の切抜帳を抱いて、大に詰まらながつてゐた。
所へある気の利いた男が出て来て、煤煙の全部を出版しやうとすればこそ災を招く恐れがあるので、そのうちの安全な部分丈を切り離して小冊子に纏たらどんなものだらうといふ新案を提出した。
著者は多少思考を費した上、此説に同意して、直に煤煙の前半、即ち要吉が郷里に帰つて東京に出て来る迄の間を取敢ず第一巻として活版にする事に決心した。
著者は已を得ず煤煙の切抜帳を抱いて、大に詰まらながつてゐた。
所へある気の利いた男が出て来て、煤煙の全部を出版しやうとすればこそ災を招く恐れがあるので、そのうちの安全な部分丈を切り離して小冊子に纏たらどんなものだらうといふ新案を提出した。
著者は多少思考を費した上、此説に同意して、直に煤煙の前半、即ち要吉が郷里に帰つて東京に出て来る迄の間を取敢ず第一巻として活版にする事に決心した。