舟より上る囚人のうちワイアットとあるは有名なる詩人の子にてジェーンのため兵を挙げたる人、父子同名なる故紛れ易いから記して置く。
塔中四辺の風致景物を今少し精細に写す方が読者に塔その物を紹介してその地を踏ましむる思いを自然に引き起させる上において必要な条件とは気がついているが、何分かかる文を草する目的で遊覧した訳ではないし、かつ年月が経過しているから判然たる景色がどうしても眼の前にあらわれにくい。
したがってややともすると主観的の句が重複して、ある時は読者に不愉快な感じを与えはせぬかと思うところもあるが右の次第だから仕方がない。