けれども鞄膝掛けその他いっさいの手荷物はすでに宿屋の番頭が始末をして、ちゃんと列車内に運び込んであったので、彼はただ手持ち無沙汰にプラットフォームの上に立っていた。
自分は窓から首を出して、重吉の羽二重の襟と角帯と白足袋を、得意げにながめていた。
いよいよ発車の時刻になって、車の輪が回りはじめたと思うきわどい瞬間をわざと見はからって、自分は隠袋の中から今朝読んだ手紙を出して、おいお土産をやろうと言いながら、できるだけ長く手を重吉の方に伸ばした。
けれども鞄膝掛けその他いっさいの手荷物はすでに宿屋の番頭が始末をして、ちゃんと列車内に運び込んであったので、彼はただ手持ち無沙汰にプラットフォームの上に立っていた。
自分は窓から首を出して、重吉の羽二重の襟と角帯と白足袋を、得意げにながめていた。
いよいよ発車の時刻になって、車の輪が回りはじめたと思うきわどい瞬間をわざと見はからって、自分は隠袋の中から今朝読んだ手紙を出して、おいお土産をやろうと言いながら、できるだけ長く手を重吉の方に伸ばした。