いよいよ発車の時刻になって、車の輪が回りはじめたと思うきわどい瞬間をわざと見はからって、自分は隠袋の中から今朝読んだ手紙を出して、おいお土産をやろうと言いながら、できるだけ長く手を重吉の方に伸ばした。
重吉がそれを受け取る時分には、汽車がもう動きだしていた。
自分はそれぎり首を列車内に引っ込めたまま、停車場をはずれるまでけっしてプラットフォームを見返らなかった。
いよいよ発車の時刻になって、車の輪が回りはじめたと思うきわどい瞬間をわざと見はからって、自分は隠袋の中から今朝読んだ手紙を出して、おいお土産をやろうと言いながら、できるだけ長く手を重吉の方に伸ばした。
重吉がそれを受け取る時分には、汽車がもう動きだしていた。
自分はそれぎり首を列車内に引っ込めたまま、停車場をはずれるまでけっしてプラットフォームを見返らなかった。