「鸚鵡をくださいって」と、かごを取って去ってしまいました。
この四郎さんは私と仲よしで、近いうちに裏の田んぼで雁をつる約束がしてあったのです、ところがその晩、おッ母アと樋口は某坂の町に買い物があるとて出てゆき、政法の二人は校堂でやる生徒仲間の演説会にゆき、木村は祈祷会にゆき、家に残ったのは、下女代わりに来ている親類の娘と、四郎と私だけで、すこぶるさびしくなりましたから、雁つりの実行に取りかかりました。
かねて四郎と二人で用意しておいた――すなわち田溝で捕えておいたどじょうを鉤につけて、家を西へ出るとすぐある田のここかしこにまきました。